市立小樽文学館企画展
サカナクション・山口一郎さんの本箱展

 

2017/1-7

ボランティア

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2015年春ごろ、小樽文学館の玉川館長がTwitter上で企画展のアイデア出しをされていたことがあり、面白そうなので、自分も思いついたら持ち込んでも良いかご相談したところ、快諾をいただいたということがありました。

 

「小樽×文学」を切り口にいくつか考えてお渡ししたところ、1年以上を経てその中のひとつが発展し、なんと、実際の企画展として開催されることに。北海道新聞の記事によれば、当初会期中(1月26日〜4月9日)は全国各地から延べ約4,000人が来場し、続いて好評のため、4月15日〜7月30日まで「延長戦」が開催されました。

 

ご本人サイドとの調整から展示構成やポスター制作まで、実際の開催に関することはすべて文学館のご尽力によるものであり、あくまで着想を持ち込んだということに過ぎないのですが、思いがけず小樽に大勢の来場者が訪れる機会になり、2017年で最も思い出深い経験になりました。

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愛読書や影響を受けた本を展示するという原案から、実際の企画展が立ち上がるまでのプロセスは、学芸員のお仕事が垣間見える貴重な機会です。特に本だけでなく実家の喫茶店を再現したこと、運河保存運動をはじめとする当時の時代背景の展示を加えたことや、古本の箱買いのエピソードを踏まえ、本棚ではなく「本箱」としたことには、感服せずにいられませんでした。

 

パウル・クレーの画集や手塚治虫の「新宝島」などに当該作品の歌詞が並べられているのを見て感じたのは、知識として知っているのと展示で観るのでは、体験が全く違うということ。ご両親の本棚の中に五木寛之の小説や、思想家のシモーヌ・ヴェイユの原書が置かれていたのも新鮮な発見です。

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地元ということで、山口さんのお姉さんが同級生だったり、親同士が知っているとはいえ、面識のないご本人については必ずしも詳しかったわけではなく、「どうして星野源とファンが被っているの?」「それはサケノサカナというのがあって…」などと教わったことも。ご本人とバンドについては、来場した方々のツイッターやインスタグラムに毎日アップされる投稿と、会場の寄せ書きや感想ノートを通じて、より多くを知ることになりました。

 

ある日会場に行ったら、つい5分前までご本人が来ていた、なんてこともありました。結局お会いすることはなかったのですが、本箱展がきっかけで久しぶりにお姉さんと連絡が取れたり、ご両親とお話しする機会があったり、知り合った人ができたのも嬉しい出来事です。

 

4月1日にはお父さんの講演会があり(山口保さんが語る「小樽とメリーゴーランドと一郎くん」)、小樽への移住やまちづくりに関するエピソードを伺う間に、廃材で喫茶店をつくる(メリーゴーランド)、古い倉庫や街並みを生かす(運河保存運動とポートフェスティバル)、雪でイベントを立ち上げる(雪あかりの路)というのは、目の前にあるものを生かす、という点で、一直線に並んでいるのだなと気がつきました。

 

眠っていた家具や蔵書がたくさんの来場者を迎え入れるのを見て、本箱展もこれらの延長線上に存在するのかもしれない、という感想をもちました。

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